21世紀COEプログラムによる活動記録

部門研究会

目下、下のような研究会を行っています。これらの研究会への参加は、研究者や大学院生に限られていますが、研究会で発表・討論された内容は、このページを通じて、広くお知らせしていきます。

 

部門研究1「一神教の再考と文明の対話」研究会

「一神教」、「多神教」の概念は19世紀の宗教学の産物ですが、今日の日本の知的状況下においては、ユダヤ・キリスト教とイスラームという、共に「一神教」に属するとみなされる文明圏の対立の構図が喧伝され、「一神教」文明は既に行き詰まり、これからは「多神教」文明の時代である、といった実証を欠いたステレオタイプの言説が広く流布しています。

本研究会は、「一神教」、「多神教」の概念を学説史を遡って再検討し、「一神教」、「多神教の」の歴史的展開と論理構造を明らかにし、「一神教」文明と「多神教」文明の抱える問題群を明らかにすると同時に、異なる文明間の共存の仕組みを探ります。

本研究会は、ユダヤ教、キリスト教、イスラームの内在的研究に加え、仏教、儒教、神道などの「多神教」との比較研究によって、「一神教」概念を見直し、「多神教-一神教」の分析枠組みを超えた新たな地平を切り開き、異なる文明の共存のための学際的・文明論的な理論モデルの構築を目指しています。

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部門研究1 研究員一覧表

 

部門研究2「アメリカのグローバル戦略と一神教世界」研究会

アメリカは今や軍事・経済・情報の各面で世界に圧倒的な優位を保持していますが、9.11テロに見られるように、それへの反発も大きく、またイラク戦争によってイスラーム文明圏との衝突の可能性も内包しています。

アメリカ国内ではキリスト教右派が大きな政治勢力となってきています。中東地域のアメリカへの反発の背後には、イスラームの理念と価値観が存在しています。この研究会では、アメリカの軍事・外交戦略と一神教の関係という、これまで学術的に扱われることの乏しかった視点から、今後の国際政治と文明・宗教という普遍的問題について多角的な分析を試みていきます。

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部門研究3「日本宗教から一神教への提言」研究会

これまで様々な形で宗教間対話のモデルが提唱され、また、実際に異なる宗教間での対話が行われてきた。しかし今日の紛争やテロを見ると、宗教が直接の原因となっ ているわけではないが、事態の展開に一神教が関与していることは否定できない。現代社会が抱えているこの困難な問題に対して、一神教以外の宗教、特に日本宗教はどのような提言をすることができるだろうか。

本来、三つの一神教の間において、あるいは、一神教それぞれの内部における急進派と穏健派との間で対話がなされ、問題解決がなされるべきであるが、そこにはある種の行き詰まりが見られる。したがって、すべての宗教が横並びになってなされる、具体的焦点を欠いた宗教間対話ではなく、一神教に対し、それ以外の宗教が積極的に問題解決の糸口を示す宗教間対話こそが今必要とされている。

日本において、いわゆる「一神教批判」は枚挙にいとまがないほどである。しかし、「提言」としての批判は、単なる批判ではなく、批判し提言する相手(一神教とその世界)との「対話の接点」が必要である。
多神教的要素を多分に含み持つ日本宗教から、一神教がどのように理解されているのか、何を、どのような方法によって提言できるのかを、本研究会では考察していく。

また、近代において日本の文化・宗教・歴史に対し一神教がどのような影響を与え、内在化されていったかについての歴史的考察も行う。そうすることによって、一神教が単に日本の外部にある他者として存在してきたのではなく、受容と拒絶というプロセスを通じて内在化されてきた側面を持つことを明らかにしていく。それはまた日本宗教の自己規定に密接に関わる課題となるはずである。

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