21世紀COEプログラムによる活動記録

若手研究会

この度、一神教学際研究センターを事務局とした若手研究者による研究会が発足しました。概要は下記の通りです。今後このリンクサイトから活動の案内と報告をしていきます。

研究会名:若手研究会「一神教世界の基盤と対話を巡って」
研究会主幹:上原潔、高尾賢一郎、平岡光太郎、藤本龍児、堀川敏寛
研究会事務局:同志社大学一神教学際研究センター(CISMOR)
研究会顧問:森 孝一(CISMORセンター長)

 

1.研究会の概要と組織構成

若手研究会「一神教世界の基盤と対話を巡って」(以下、研究会)は、若手研究者による研究会である。研究会では積極的に外部の研究・教育機関からの若手研究者を中心とした参画を図り、若手研究者の個人の研究進捗を図るとともに、共同研究やその助成申請に資する直接的な人的ネットワークの構築を目指す。
研究会で取り扱う学術テーマはユダヤ教、キリスト教、イスラームを主とした一神教世界の研究に携わるものであれば詳細は問わないが、「研究部門」におけるいずれかの統一テーマに沿うものとする。

 

2.研究会の構成とその説明

研究会は五名の「研究会主幹」により運営される。「研究部門」の各パートには一名から二名の代表者を置き、実質的な活動の運営に携わる。
事務局が所属するCISMORのセンター長を「研究会顧問」として置く。研究会顧問は学術・教育・人道的な観点から、また同志社大学教員の立場から、同会の運営と活動が研究と教育を中心とした場として健全なものであるかを監査し、必要に応じてその活動の内容に対して研究会主幹に助言を与える。

 

3.研究会の活動構成

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4.活動の説明

【研究部門】
主に若手研究者による、個人の研究による成果発表やテーマ上必須となる文献の講読や研究動向の情報共有を活動の中心とする。各部門は半年から2年に渡る期間限定のテーマを設け、それに沿った研究活動を行なう。

「聖典と政治思想」部門(担当者:堀川敏寛) 

ある集団や共同体の来歴を聖典に従って理解し、それらの形成過程において理想やモデルとするところを聖典の中に求める試みは、古来存在する。ヨーロッパにおいては聖書が、イスラーム世界においてはクルアーンが、その試みに対し大きな役割を果たしてきた。古今の著名な思想家は聖典をいかに理解し、こうした営みにどのようなスタンスを採ってきたのか。また彼らの中でどのような問題が顕在化し、また潜在化していたのか。本部門ではその問いに分け入って検証する。

「多元主義」部門(担当者:上原潔) 

情報網の拡大と資本の国際化に伴い、文化的背景を異にする人々同士の接触の機会が急速に増えつつある今、古来の伝統的な自己(自文化)/他者(他文化)理解の再考が促されている。こうした社会情勢を背景として、宗教を巡る昨今の言説においては、いわゆる「宗教多元主義論」が殊更に重要な主題となっている。しかし宗教というものが不変・不動の真理を探究する営みであるとすれば、宗教的真理主張を単純に時代の移ろいに合わせるという試みが一方的に受け入れられるべくもないだろう。そこでは伝統と革新の相克や、その止揚を介した宗教変革が生じる。本部門の目的は、現代の宗教多元的状況の中で生じてくる諸問題を詳らかにし、それらに対し各宗教共同体がいかなる応答をしているのかを理解・把握することである。

「宗教と現代社会」(担当者:藤本龍児) 

本部門では現代社会における宗教を巡る諸問題を取り扱う。「宗教と現代」を対象とした研究は、学問分野に関して言えば諸々の宗教研究系分野、いわゆる「ゲリラ宗教学」(柳川啓一)と呼ばれた多くの分野の射程に含まれてきた。またテーマに関して言えば、「世俗化」、「宗教復興」、「メディア」などが現代における宗教と社会との相克や宗教活動の転換を描き出すものとして取り扱われてきた。特にこれらは宗教や地域別のトピックとして根強い関心が持たれている。ここでは個人の研究発表を中心に、一神教世界を巡る上記のような問題群について事例を用いながら考察する。

 

【教育部門】
広義の宗教研究に必要とされる諸外国語、及び各種報告の場とする。

「英語」

研究活動における英語活用の能力向上を図る。英語による個人の研究発表が活動の中心となる。発表にあたっては司会とコメンテーターを設け、研究内容に限らず、口頭での英語説明や作成された英文レジュメが明快であったかどうかについて英語による意見交換を行ない、参加者の「英語による口頭発表」技術の総合的研鑽を行なう。若手研究者による国際学会での発表を含めた、英語による各種学術活動のための能力向上を図る。

「アラビア語」

アラビア語の会話と読解の能力向上を図る。学生の多くが大学入学後に学習を始めるというアラビア語の第二外国語としての性格を考慮し、必要に応じて集中的な基礎文法の教育の場を設ける。文献読解やフィールド調査への効用を目的とした、アラビア語の学力向上を図る。またアラビア語圏への渡航・留学経験者が担当することで、参加者の留学準備学習を提供する場とすることも射程に含む。

「各種報告会」

博論執筆や留学の経験、また宗教研究に関わる各種学会や研究会、シンポジウムなどの企画の報告を行ない、参加者の研究活動に資するための情報の交換や共有を行なう場とする。