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【2006年度 第1回研究会】
| 日 時 |
| 2006年5月6日(土)14:00-17:00 |
| 開催地 |
| 同志社大学 今出川キャンパス 扶桑館 マルチメディアルーム1 |
| タイトル |
| Modernization and Islam in Malaysia with special reference to Mahathir's Islamization policy and Badawi's Islam Hadhari |
| 講師 |
| オスマン・バカル(マレーシア国際イスラーム大学教授) |
| 要 旨 |
オスマン・バカル教授の発表においては、まず、1957年のマレーシア独立から第四代首相マハティールにいたるまでの各政権におけるイスラームに関連した政策についての説明がなされ、そのうえで、現在の第五代アブドゥッラー・バダウィ政権においてとられているイスラーム・ハドハリ(Islam Hadhari、Civilizational Islam、文明的イスラーム)についての説明がなされた。
イスラームが国家の唯一の公式な宗教であるマレーシアでは、マハティール政権にいたるまでの各政権においては、イスラームは行政において一定の重要性を持つ要素であり、布教や福利厚生、外交の面において、イスラームの価値観を反映した様々な施策がとられてきた。1969年の人種暴動後の戒厳令を受けて成立した第二代アブドゥル・ラザク政権においては、ムスリム・マレー人優遇のための開発政策とイスラーム政策が連結されて同時に進行した。マハティール政権においては、「イスラマイゼーション政策」としてより重要な位置を占めるようになり、教育、金融、行政などにおいて、よりイスラームを反映した施策がとられるようになっていった。
その後2003年に登場したアブドゥッラー・バダウィ政権において、イスラーム政策の指針とされたのが、イスラーム・ハドハリである。神への信仰、公正な政府、バランスのとれた包括的な経済成長、マイノリティーや女性の権利保護、といったイスラーム・ハドハリの十大原則がアブドゥッラー・バダウィ首相によって示されている。
オスマン・バカル教授は、イスラーム・ハドハリが提唱され、現在マス・メディアや教育、セミナーなどで普及されるにいたるまでのプロセスの内幕や実態についても解説した。そこには、与党と野党のパワー・バランスの問題、イスラーム政策を強調することによりムスリム・マレー人有権者の支持を得ることの必要、といった背景がある。
コメンテーターの川端隆史氏(外務省国際情報統括官組織第二国際情報官室事務官)からは、イスラーム・ハドハリの原則や指針が、あまりにも一般的で、具体性に欠けており、行政の現場で具体的な影響がどれだけあるか疑問であるとの指摘がなされた。
大木博文氏(マラヤ大学博士後期課程)からは、多民族国家であるマレーシアにおいては、イスラーム政策の強調は非ムスリムから反発を招きかねないこと、逆に非ムスリムに配慮しすぎれば、ムスリム有権者が離反していく、との指摘があった。
(同志社大学大学院神学研究科教授 中田 考) |
