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センター長挨拶
イスラーム文明とユダヤ・キリスト教文明の共存をめざして
同志社大学一神教学際研究センター(CISMOR)は2003年に、同志社大学大学院神学研究科が文部科学省の21世紀COEプログラムに採択されたのとほぼ同時に設立され、国内外の多くの皆さまのご支援とご助力によって、中東生まれの3つの一神教(ユダヤ教・キリスト教・イスラーム)とその世界についての学際的研究を続けて参りました。 21世紀COEプログラム終了後も、同志社大学はCISMORを本学の高等研究教育機構に所属する恒常的な研究センターとして、継続して維持していくことを決定いたしました。また、2008年9月には、CISMORは文部科学省の「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」に採択され、5年間の研究助成金を受けることとなりました。これはCOEと同様に、世界的な水準の研究拠点を形成するための支援プログラムであり、「一神教とその世界に関する基礎的・応用的研究拠点の形成」というプロジェクト・タイトルの元で、21世紀COEプログラムとほぼ同様に、一神教とその世界についての学際的研究を続けることが可能となりました。
CISMORは、一神教と一神教世界について学際的で総合的な研究を行い、その研究成果を世界に向けて発信し、イスラーム・ユダヤ・キリスト教世界の「仲介者としての役割」を果たすことをめざしています。 中東で生まれた3つの一神教、すなわち、ユダヤ教、キリスト教、イスラームは「兄弟の関係」にありながら、欧米とイスラーム世界は対立・抗争の歴史を繰り返してきました。今日の世界が直面している「文明の共存」と「安全保障」の実現のためには、一神教について、文明論的な視座からの、「総合的」で「学際的」な研究活動が必要です。同志社大学は、新島襄による創立以来、キリスト教研究とアメリカ研究に力を注ぎ、高い評価を受けています。CISMORでは、一神教文明をトータルにとらえるために、宗教研究においては研究対象をキリスト教だけでなく、イスラームとユダヤ教に拡大し、研究対象となる地域に関しては、アメリカだけでなく中東、東南アジア、EUにも拡大し、学際的で総合的な研究活動を実施しています。 CISMORは歴史的「しがらみ」から自由な「外部」に位置する日本だからこそ実現できた研究センターであり、3つの一神教を同時に本格的に学際的に研究できる研究機関は、日本においてだけでなく、世界においても希有な存在であるといっても過言ではありません。また、日本における一神教研究の歴史は浅く、その理解は十分であるとはいえません。一神教とその世界に対する理解を高めることにより、その対極にある、多神教に基づく日本文明をより深く理解することにも貢献したいと願っています。
CISMORの研究活動の一つの特徴は、研究成果を日本語・英語・アラビア語の3カ国語で発信しているところにあります。CISMORの学術誌『一神教学際研究(JISMOR)』だけでなく、ウェブサイトも3カ国語です。中東や欧米では不可能な、日本においてだから可能であった、3つの一神教の研究者や宗教指導者による対話を実現した「国際ワークショップ」の発表・コメント・ディスカッションの全文も、冊子とウェブサイトに3カ国語で掲載しています。 このような研究活動と発信の成果が、いま徐々に実りつつあることを実感しています。
残念ながら、CISMORのこれまでの活動の期間中に、世界における一神教とその世界間の対立・抗争は減少するどころか、その厳しさを増しています。このような現実の中で、無力感に沈むことなく、一神教についての基礎的な思想・神学的研究を着実に進めつつ、一神教世界の平和と共存を実現するために、極東の日本において、京都から何ができるのかを考え続けていきたいと願っています。益々の、ご支援とご助力をお願いいたします。

- ・CISMORは、アメリカ宗教学会(AAR)の関連学術団体です。
- ・CISMORは、京都・宗教系大学院連合(K-GURS)の加盟団体です。



