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国際協力と宗教-ODA(開発途上国支援)の現場から考える

公開講演会

国際協力と宗教-ODA(開発途上国支援)の現場から考える

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日時: 2015年06月19日(金)16:30-18:30
場所: 同志社大学今出川キャンパス同志社礼拝堂
(京都市営地下鉄烏丸線「今出川駅」下車3番出口徒歩3分)
講師: 三木隆文(元JICAプロジェクトコーディネーター)
コメンテーター:王柳蘭(京都大学地域研究統合情報センター/
        京都大学白眉センター特定准教授)
要旨:
 三木氏は、国際協力の現場で邂逅した様々な問題について解説した。
 まずODA(政府開発援助)についての説明があった。国の予算による事業であるものの、ODAのシンボルマークには「日本の人々から」(From the People of Japan)という言葉が表記されており、その運営資金は政治家でも官僚でもない、国民によって供出されている。そしてこの点を常に意識することが重要である。実際の現場に出た際、「なぜ援助をしてくれるのか」という質問を受けることがあり、三木氏は国内外でこれに答えてきた。日本の場合は、1945年8月がこの問題の出発点となる。戦後の当時は、とても回復できないような被害状況だった。EROA(Economic Rehabilitationin Occupied Area Fund )などをはじめとする様々な基金によって日本は助けられて復興が可能となったのであり、これが国際協力をする理由でもある。新幹線、黒四ダム、東名高速道路などのインフラ整備の陰には、世界銀行の支援があり、1990年にようやく完済したことはあまり知られていない。
 そもそも国際協力とは、国境を越えて行われる援助・協力である。様々な形態があり、国家間でなされるもの、国と民間でなされるものがある。二国間協力や多国間協力の他に、現在では、発展途上国間での相互協力(南南協力)もあり、その有効性が着目されている。また、かつて被援助国であった国が発展成長して援助する側に立つ例の説明もあり、そのうち韓国はOECD開発援助委員会(DAC)のメンバーにもなって活発にODAを推進している。アジア・太平洋障害者センターというプロジェクトで、タイにおける障害者のネットワークを構築した際は、被供与国であるタイも資金を提供して、アジアの他の国とネットワーク構築に貢献した。
 国際協力の内容は、貧困・飢餓対策が筆頭に挙げられる。かつてアフリカには紛争や旱魃などを原因とする飢餓が発生した。次に地震、洪水などに対する災害救助や復興支援があり、被害国から要請のあった場合には登録された要員(専門家)を緊急援助隊として派遣する体制が整っている。また医療支援や難民支援、開発支援(技術協力・インフラ整備)がある。国外のODAでは、三木氏はタンザニアで、農業灌漑分野における協力事業に貢献した。日本が援助
をするものの、主体はあくまでも被供与国側のタンザニア政府である。JAICAの専門家は相手国の当該機関に派遣・配置され、地道な調査と技術援助の結果、タンザニアでは灌漑技術が習得され、稲作などが定着するようになっていった。
 このように被供与国で仕事を進める際、その土地の社会規範・社会風習に対する理解と配慮が必要となる。訪問する国々には様々な宗教や異なった社会制度があり、祝祭日やその理解も異なる。例えば、金曜日は日本では平日だが、イスラームが主体の国では休日であったり、平日であったとしても礼拝のための休息時間を長くとったりして、ムスリムに配慮がなされている。
 枠組みで、三木氏と異なった視点から現場を調査してきた。王氏によると、ODAなどによる開発が、供与される民衆に負の影響の与える可能性もあり、これを解決するために対話によるネットワーク構築が必要である。現地調査により、政治経済の論理、国益からこぼれ落ちる「弱者」が宗教を通じて救済され自立したのを王氏は確認した。彼らを弱者としてのみ捉えるのでなく、むしろ彼らの生き方から学ぶことが重要である。
(CISMOR特別研究員 平岡光太郎)
 
 
※入場無料・事前申込不要

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【共催】同志社大学大学院博士課程教育リーディングプログラム
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