CISMORセミナー
cismor セミナーシリーズ(第11回)
【研究者・学生対象CISMORセミナー】トランプ大統領のアメリカと保守的キリスト教
日時: |
2017年05月25日(木)17:00-18:30 |
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場所: |
同志社大学今出川キャンパス 良心館RY410教室 (京都市営地下鉄烏丸線「今出川駅」下車3番出口徒歩1分) |
発表者: |
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要旨: | |
Campbell教授は「米国の福音派の人々がトランプ大統領を応援した。その支持率は 81%で、それはジョージ・W・ブッシュや B・クリントン等よりも多い数値であった。」との報道に対し、「何故福音派の 81%が応援したのか?」との問題設定を行った。 「米国の福音派にもコミュニティ毎に様々な動きがあり、一様ではない」ことに触れ、その一様でない有り様を、米国の福音派の中の各派を紹介と、米国福音派共通の合意点、および派毎・州毎の相違点について統計グラフデータを通じて明らかにした。 また米国の福音派においては、熱烈なトランプ氏支持勢力がいると同時に、支持しない勢力も歴然と存在していると指摘した。 基礎的研究の立場から、米国福音派の基本的理念および心情、米国福音派主流勢力を紹介し、彼らがトランプ支持勢力でないと結論づけた。 出席者からの主な質問は次の様なものであった。 ①「受けた教育のレベル(例:大学既卒者(高等教育を受けた人達)と大学に入学していない人達(然程教育を受けていない人達))による人々の支持の違いはあるか?」 ②「他国への人的援助等といった政府支援を減らそうとするトランプ氏の政策方針は、クロスナショナルな支援の志向にある他国を含めた各国福音派の潮流と合致していないのでは?」 ③「福音派の中でも多様性がある、といっていたが、多様性はオバマ大統領の頃から既にあったのではないか? (例:“Religious Left (宗教左派)”、“Liberal Evangelicals (リベラルな福音派)”、等)」 ④「結果的に、25%である米国福音派の81%が投票したから勝ったと思うが、そういう意味では、“白人の福音派がトランプ氏を勝たせた” と言えるのではないか?」 ⑤「米国の福音派は、中絶や同性愛の問題よりも地球規模の問題のほうが重要だと考えていた筈だが、何故、今回の選挙の時は、地球規模の問題よりも中絶や同性愛の問題が重要だと考えたのか?」 ⑥「次の選挙の時までに福音派の構成比に変化が起きた場合(例えば、80%→50%に減った場合等)、次の大統領選挙は変化が起きると予想されるのか?それとも今回と同じ結果になると予想されるのか?」 ⑦「もし、トランプ氏が “The Johnson Amendment (米国の税に関する規定)” によって福音派グループを支援したらどうなるか?或いは今現在それらを防ごうとする動きはあるのか?」 ⑧「そもそも、“福音派”の明確な定義は何か?」 Campbell教授は、紹介データの再説明、福音派の立場を示す新約聖書の各福音書内の数節を引用して答えた。また自身の担当予定科目「アメリカ史における宗教 (American Society and Religion)」(本学神学部、2017 年度秋学期)で、継続的に分析し、明らかにしていくと述べた。 (CISMOR特別研究員 阿部泰士) 1. 本セミナーは研究者・学生(聴講生含む)が対象になります。 2. 講義は主に英語で行われますが、日本語による解説も行う予定です。 3. CISMORセミナーシリーズは1年を通して定期的に開催する予定です。申込みは不要ですが、今後継続して参加をご希望の方には事前に連絡・資料配布などいたしますので、ご登録をお願いします。氏名・所属大学・ポジションをご記入の上、一神教学際研究センターまでメールにてご登録ください。 |
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20170525Gavin James Campbell |
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