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The Role and Future of Religion in Global Politics (地球規模的政治における宗教の役割と未来)

公開講演会

同志社大学 第34回新島講座

The Role and Future of Religion in Global Politics (地球規模的政治における宗教の役割と未来)

日時: 2011年12月20日(火)15:00-18:30
場所: 同志社大学今出川キャンパス至誠館1階 S3教室
講師: ジョン L. エスポジト(ジョージタウン大学特別教授)
要旨:
宗教の復興、特に一般的に「宗教原理主義」と呼ばれる宗教のリバイバルは、20世紀(神の世紀)後半からグローバルな政治と社会に多大な影響を与えてきた。宗教の復興は、世界の主要な宗教すべてで、世界中で見られた。多くの人が避けがたい近代化、世俗化の過程として見てきたものが後退したことは、社会の脱世俗化、すなわち世界の各地における国内的・国際的な政治と社会の大きな変動の兆しとなったのである。
グローバルな宗教の復興は、宗教的のみならず、社会的・政治的覚醒でもある。現代の宗教の復興に共通することは、アイデンティティ、確実性、そして、コミュニティの探求であり、個人生活と社会の両方に秩序と意味を求める願望である。来世のためだけでなく現世のための宗教の関与を主張して、多くの人は宗教的な伝統に転じた、あるいはより正確に言えば、宗教的伝統に回帰した。リヴァイヴァリストの運動は、宗教を個人の生活に限定された信仰の記号としてではなく、生活様式全体だと見る。その運動は、しばしば、リベラル派、左派、世俗主義、あるいは無神論と特徴づけられる現状維持を批判し、本質的な改革を要求する。ほとんどの者は下からの変化を引き起こそうとする。つまり政府や社会を暴力的に転覆するというよりも改革しようとするのである。
リヴァイヴァリストのおのおのの運動は、種々のアジェンダと戦術のもととなる多様な信仰の文脈と解釈から生じており、そこにはっきりとした差異がある。カトリックの解放の神学が一義的には貧しい者の窮状の中から、そしてその窮状に応じて発展したのに対し、イスラーム運動は、貧民層と知識人層の両方の、政治的、経済的、宗教・文化的必要性に応じたものである。
宗教の役割と暴力やテロリズムとの関係を理解するのに基本的なことは、すべての宗教は超越的であり「闇の側面」を持っているという理解である。宗教は超越的な(神聖な、完全な、あるいは究極の)存在あるいは実体なのである。宗教によって、信者が自己を超越した水準に達することができる。すべては、平和と社会正義の源であった。しかしながら、歴史的に、宗教は戦争を行う、あるいは、異論を抑圧するためにも用いられてきた。
直接的な脅威を与える革命運動の抑圧を政府は容易に正当化しうる。そうであるにもかかわらず、代替となる社会制度を提供し、現実味のある効率的な政治上の反対勢力を組織し、選挙政治に参加することによって、体制の中から政治制度の正当性と効率性に挑戦する運動に反対することはより困難である。
宗教と政治や社会の関係性を理解することは、国内的にもグローバルにも、21世紀においても依然として重要である。現在のすべての兆候は、予見できる将来にわたって世界各地で宗教が重要な存在で、アイデンティティ・ポリティクスにおける力でありつづけるであろうことを示唆している。アメリカや世界各地において、宗教はこれまで通りアイデンティティ、価値観そして道徳の源泉である。国内政治や、男女の平等、家族、性、生殖に関する権利の問題、教育、社会福祉、外交政策に宗教は影響を与える。同時に、過激派とテロリストの手中にある宗教はクローバルに政府と社会の安定に対する深刻な脅威のままである(本講演の原稿全文とその日本語訳が、同志社エンタープライズから公刊・販売されている)。

(同志社大学大学院法学研究科博士後期課程 山口航)
1. 公開講演会 15:00-16:30
" The Role and Future of Religion in Global Politics "
(地球規模的政治における宗教の役割と未来)※英語講演:同時通訳あり
同志社大学今出川キャンパス至誠館1階 S3教室【定員】80名

2. 公開セミナー 17:00-18:30
" The Role of Religion in American Politics "
(アメリカ政治における宗教の役割)※英語講演:通訳なし
同志社大学今出川キャンパス 寧静館5階 会議室

※入場無料・事前申込不要
【主催】学校法人同志社 新島基金運営委員会
【共催】同志社大学一神教学際研究センター