同志社大学 一神教学際研究センター CISMOR

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研究

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ユダヤ思想の伝統におけるイスラーム思想の影響(イギリス)

研究

ユダヤ思想の伝統におけるイスラーム思想の影響(イギリス)

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英国は、世俗化と同時に宗教の多元化が急速に進行しているヨーロッパにおいて、宗教の共存に積極的に取り組んできた。ユダヤ教をはじめ一神教の研究も精力的になされており、西洋文明に対するユダヤ思想の独自な貢献に関する研究も進んでいる。当該分野の大家がいるレオ・ベック・カレッジと連携する。

レオ・べック・カレッジ 

 

研究会

国際共同ワークショップ

”Land and People in Jewish Writings and Their Interpretations”

開催日:2013年2月28日
会場:英国、レオベックカレッジ

研究会プログラム

ワークショップ報告書『Land and People in Jewish Writings and Their Interpretations(ユダヤ文献における『地と民』とその解釈)』

ユダヤ思想の伝統におけるイスラーム思想の影響 研究会1
ユダヤ思想の伝統におけるイスラーム思想の影響 研究会2

 

研究ノート 

派遣者:神田愛子(同志社大学 神学研究科後期課程)

ユダヤ思想の伝統におけるイスラーム思想の影響

「ユダヤ思想の伝統におけるイスラーム思想の影響」

研究目的
ギリシア古典哲学やイスラーム思想、またキリスト教スコラ哲学との関わりまでをも射程に置いた影響関係につき研究を行うことを目的とする。多角的で深遠なテキストの読解をとおして、現代的な視点からユダヤ思想の真髄を究めることを目指す。
 
研究方法
研究対象であるマイモニデスのユダヤ・アラビア語原典『迷える者の手引き』(アラビア語: Dalālat al-ḥāʾirīn, ヘブライ語: Moreh nebukhim, 英語: the Guide of the Perplexed)を、複数のヘブライ語訳と英訳と比較しつつ、また鍵となる語については中世の語彙の用法まで掘り下げることをとおして、さらに関係する二次文献を適宜参照しながら、受入側研究者であるレオ・ベック・カレッジのラビと共同で精読していく。タルムード、ミドラッシュ、また聖書の引用箇所に関しては、前後の文脈を確認することによって引用箇所のユダヤ的背景を理解し、著者の引用意図を深く捉えることを模索する。さらに、マイモニデスの思想と、彼の思想における影響関係を幅広く捉えるために、彼の法学、医学、天文学、倫理学的著作や、同時代のスペイン・アンダルス地方を中心にした思想家の著作を比較講読することによって、彼の思想の全体像を掴むことを念頭におきつつ、より深く、かつ多角的な読解を目指していく。また、マイモニデスの生きた中世アンダルス、マグレブ、エジプトといった地中海地域を取り巻く歴史的状況、特にユダヤ、イスラーム、キリスト教の三つの一神教の影響関係を意識した当時の歴史状況を調べることにより、マイモニデスの思想がいかに構築されていったのかにつき考察していく。
読解においては、派遣先において将来ラビを目指す学生と共に学びながら、生きたユダヤ伝統の只中におけるユダヤ的な思想的背景を意識し、かつ学問的な探究を心がけることによって、観念論的な読解を超えた、現代的な視点からの実存的な読解を試みる。さらに、シナゴーグでの勉強会や宗教的行事への積極的な参加を心がけ、ユダヤ伝統を自分の内に体感しつつ、より実存的にユダヤ伝統を理解することを試みる。また、共同で読解を行う受入先研究者以外の講師陣とも積極的に討議することを心がけ、生きたユダヤ伝統に基づいた、現代的な視点からの多面的な読解を目指す。さらに、英国内における学会や研究会にも積極的に参加し、関連分野の最新の研究動向を探りつつ、世界レベルの研究内容に近づけることを目指していく。
 
研究内容
以上の研究方法に基づき研究した内容については、適宜研究会において発表し、発表内容については一神教学際研究センター(CISMOR)をとおして順次公表していく。具体的には、2012年8月には「マイモニデスの創造論におけるラビ文献の使用-『迷える者の手引き』第二部三十章より」と題し、エルサレムのヘブライ大学における研究会にて発表を行い、また2013年2月には「マイモニデスにおける地と民:『迷える者の手引き』第二部三十章より」と題し、受入先研究機関である、ロンドンのレオ・ベック・カレッジにおいての研究会にて発表を行った(以上、発表は英語による)。さらに、本年6月末に開催されるユダヤ学会議での研究会において、「マイモニデスの宇宙観-ギリシアとイスラーム思想との比較において」と題して発表する予定であり、またマイモニデスの思想を取り巻く歴史的背景については、一神教学際研究センターが刊行する『一神教世界』にて論文を掲載する予定である。
 
参考文献(二次文献):
Davidson, H. A. (2011). Maimonides the Rationalist. Oxford: Littman Library of Jewish Civilization.
Davies, D. (2011). Method and Metaphysics in Maimonides’ Guide for the Perplexed. Oxford and New York: Oxford University Press.
Halbertal, M. (2007). Concealment and Revelation: Esotericism in Jewish Thought and its Philosophical Implications. Princeton and Oxford: Princeton University Press.
Kellner, M. (2009). Science in the Bet Midrash: Studies in Maimonides. Brighton, MA: Academic Studies Press.
Klein-Braslavy, S. (2011). Maimonides As Biblical Interpretor. Brighton, MA: Academic Studies Press.
Seeskin, K. (2005). Maimonides on the Origin of the World. Cambridge: Cambridge University Press.
ユダヤ思想の伝統におけるイスラーム思想の影響
ユダヤ思想の伝統におけるイスラーム思想の影響