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研究プロジェクト

2008年度より新しく2つの研究グループが組織され、より特化したテーマのもとに専門的研究を行うことになりました。各プロジェクトの概要は次の通りです。

第1プロジェクト「グローバル化する一神教の思想的研究」
代表者:富田 健次(同志社大学・神学部神学研究科・教授)

  日本には一神教世界についての地域研究や人類学的研究の拠点はいくつかあるが、思想的・神学的研究を行う拠点は存在しない。しかし、そのような研究が、実際の紛争解決や一神教世界の理解にとってきわめて重要な役割を果たすことを踏まえ、本研究プロジェクトは、ユダヤ教・キリスト教・イスラームそれぞれの思想的・神学的研究を深めるだけでなく、三者に共有される思想的・神学的課題や争点を重点的に取り扱っていく。
  いずれの一神教も、それが成立した場を離れて、今やグローバルな活動領域を有している。グローバル化の中で不可避的に直面した近代化、世俗化、西洋思想との対決など、一神教世界を取り巻く思想的課題に対しては、政治思想の側面からも研究を進めていく。また、一神教的な価値が日本社会にもたらした変化や葛藤についても研究対象とする。
  三つの一神教は、従来、ユダヤ学、キリスト教神学、イスラーム学として個別に研究されてきた。この三つの一神教は特に近代以降、対立の歴史を繰り返してきた。三つの一神教を「同根の宗教」として把握し、対立ではなく共存を可能にするために、それぞれの神学、法学、哲学、思想を視野に入れた総合的な「一神教研究」の基盤を構築することが、本プロジェクトの研究内容である。
  その研究遂行のため、ユダヤ学ユニット(部門リーダー:手島勲矢)、キリスト教神学ユニット(部門リーダー:三宅威仁)、イスラーム学ユニット(部門リーダー:中田考)で細部の計画を立てながら、同時に、それぞれが有機的な関係を持つために、「一神教内部における保守派とリベラル派の緊張関係」「一神教世界と世俗化・近代化・ナショナリズムをめぐる諸問題」「日本社会と一神教」といった重点課題を共有していく。

第2プロジェクト「多様なものの共存と社会統合」
代表者:森 孝一(同志社大学・神学部神学研究科・教授)

  2001年の「9・11」同時多発テロとその後のイラク戦争は、中東生まれの三つの一神教が深く関わっている。またキリスト教世界であったEUは近年、イスラーム系移民の増加によって、民族や宗教における多様性を保障しながら、どのように社会統合を図ればいいのかが喫緊の問題となっている。今日の世界が直面しているこのような重要課題に一神教が深く関係しているにもかかわらず、我が国においては「一神教とその世界」を総合的に研究する研究機関は存在していない。

本研究プロジェクトは次の二つの研究部門を設定する。

  • (1)アメリカ研究部門「アメリカの内政・外交に対する一神教の影響」(部門リーダー:村田晃嗣)
  • (2)EU研究部門「EUとアメリカにおける社会統合と一神教の関係」(部門リーダー:内藤正典)

  (1)アメリカ外交の一つの特徴は、理念が外交政策の決定に大きな影響を与えているところにある。本部門研究は、アメリカのグローバル戦略の宗教的次元を学際的に分析し、世界における多様なものの共存の道を探る。また、内政に大きな影響力を持っている宗教右派や福音派の歴史・現状・変化について分析する。
  (2)EUの拡大統合路線の成否の鍵を握る社会統合と一神教との関係を究明する。ヨーロッパ社会は今後、世俗主義のヨーロッパvsイスラーム社会、キリスト教保守勢力vsイスラーム社会という二つの対立軸が、社会統合の焦点となる。この点をふまえ、EU研究部門では、多民族・多文化社会の先行例であるアメリカの場合と比較しつつ、EU統合の可能性と限界をEU自身とイスラーム社会に提示し、その上で両者共生の方途を彼ら自身が模索するための手がかりを示すことを最終目標とする。

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