公開講演会
イラン・イスラム共和国モラヴェルディ副大統領来日記念講演会
イランにおける女性の社会進出:現状、政府の取り組み
日時: |
2017年02月15日(水)15:30-17:00 |
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場所: | 同志社大学今出川キャンパス良心館RY305教室 |
講師: | モーラヴェルディ イラン女性・家庭環境担当副大統領 |
要旨: | |
モーラヴェルディ氏は、イラン・イスラム共和国の社会の変化と変遷について、女性をめぐる状況を中心に講演した。 1979年のイラン・イスラム革命以降、イランは戦争や経済制裁など様々な問題に直面し、困難な状況だったが、女性の地位向上、人材開発に関する指標の向上は目を見張るものがある。特に第三次五か年計画後は女性の役割が重視され、各省庁や政府機関が互いに協力、連携し、女性の地位向上のための取組を推進している。その結果として女性教育の指標の顕著な向上、特に初等教育におけるジェンダー平等(gender equality)の達成などが見られる。これらは単に女性教育が普及したことのみならず、今後のより積極的な女性の政治、経済、社会、文化における参画の大きな基盤となっている。また女性は、単に学問、科学技術の生産や出版において大きな役割を果たしているのみならず、次世代の子供達を育成するという重要な役割を担っている。それゆえ女性達の研究や教育における役割を正しく認識することとそのエンパワーメントは、国の開発計画の柱の一つとして掲げられている。 革命が成就した当時、全学生の69%が男子学生で、女子学生は31%に過ぎなかった。しかし公共教育の普及や社会正義の実現の強調などの取組の結果、公共教育の機会が平等に与えられ、大学への女性の進学志願者も増えた。そして高等教育は女子の能力開発、技能開発に対して大きな役割を果たしている。2002年には女子学生の割合が51%となり男子学生を上回り、その後も増加が見られたが、政府が両者の数のバランスを取る政策を実行したことで、現在では男子学生53%、女子学生47%となっている。しかし今でも医学部など女子学生の割合の方が高い分野もある。 この数十年の間で、健康や教育などの分野における女性を取り巻く環境は改善し、女性と男性が平等かつ公正に経済的、社会的な資源にアクセスできる環境作りが政府の優先課題として掲げられてきたが、なお 男性の方が社会的、経済的な地位では優位に立っている。それゆえ社会的な基準や評価の是正、社会変化に則した法的改正、家事や高齢者等の介護の価値を見出すこと、財産や様々な機会の平等かつ公正な分配などを達成してこそ、女性達が持続的に社会、政治、文化、経済の分野でより積極的に参画することが出来ると考える。 核合意の履行後、経済制裁が解除され、イラン経済は大きく改善、発展しているが、このような中、イランの女性達の本来の力をより正しく、より効果的に活用しようという強い意志、環境、アプローチが存在する。知識集約型企業の女性経営者は現在320人を超え、商業や貿易の分野においても女性達は多くの地方の商工会議所のメンバー、理事、幹部となり、イラン国内や中東地域、世界各国の市場により積極的に参画しようとしている。 政府、特に女性・家族担当副大統領府は政策立案機関として、女性の潜在力を活かすべく、女性が様々な分野において今以上に役割を果たすことが出来るよう、法的、社会的、文化的に必要な基盤を整備し、指導的政策を立案している。イランと日本が、仕事と家庭の両立に関するアイデア、政策の成果や具体的な詳細の共有、文化交流を促進するための女性が中心となる国際的な機関の設立、また大学卒業者、家事や企業等に関する政策や計画を共有することで、女性のエンパワーメントとより効果的な社会参画を目的とした総合的な取組を進めて行きたいと述べ、氏は講演をしめくくった。 (CISMOR特別研究員 朝香知己) |
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【事前申込必須】 必ず氏名・所属を明記のうえ、同志社大学一神教学際研究センターへメールでお申込みください。 申込先:rc-issin■mail.doshisha.ac.jp (お手数ですがメール送信の際■を@に変えてください。) 申込締切:2017年2月14日(火) ※入場は無料です。 ※ペルシャ語講演、逐次通訳あり ※定員200名 【主催】 笹川平和財団 笹川中東イスラム基金 同志社大学一神教学際研究センター(CISMOR) |
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20170215ポスター 20170215 講演会プログラム |