21世紀COEプログラムによる活動記録

「多元主義」部門

第一期テーマ:神的啓示の絶対性と多様性

一神教の伝統において超越的存在者とされる神は、自己を啓示することで認識可能なものとなる。人は神の自己啓示によって信仰者としての生活を営むことになるが、それ以外の方法で神に接近することは、偶像崇拝として厳しく退けられてきた。ここに一神教的伝統が有する排他主義的性格の源泉がある。本研究会では、「排他主義」「包括主義」「多元主義」といった枠組みの中で諸宗教や宗派を理解するのではなく、この枠組みの一歩手前に遡って、各宗教内部の啓示理解(啓示の自己理解)の確認から出発し、その上で、各啓示理解が他者(他宗教)に対していかなる態度を採るに至るのかを再考する。この手続きを通して、特定の啓示理解が必ずしも排他主義や多元主義というひとつの枠組みに還元されるのではないということ、またこうした枠組みでは捉えきれない宗教的伝統の深さを指し示すことを目指す。

   
2008年度
第1回 「宗教多元主義の概略的見取り図―その歴史的背景と理論的枠組み」